600万年に及ぶ人類史に於いて、人間が殺戮と強奪を集団的組織的に持つようになったのは、ここ1〜2万年のことでしかないが、現代も世界中にある戦争と貧困と疾病を未だ克服できずにいます。
しかし、その反面、いつの時代においても人間は人間性の解放を願い平和と自由と共存を追求してきました。
それは、時代の制約を受けながらも、人間だけが持つ最良の特質の自然な発露を、一時的に敗北することがあっても、誰も止めることができなかったことからきていると思います。
そういった意味で、人類の頭上には、いつも「星は輝いていた」(プッチーニ、トスカ第3幕)のです。
そうした壮大な人類史の中に私たちスタッフも組み込まれていることを心の片隅にいつも意識的に持ち続けることが、現代の先駆的自覚的舞台スタッフに要求されているものと思います。
あらゆる学問、研究、芸術の営為の根幹には、よりよい人間の未来を作り出すことを追求していく作業があると思っています。
進歩と反動はスパイラル状にあると思いますから、簡単に「悲観もせず、楽観もせず」(広津和郎、松川裁判)、スタッフという世界の中で、普遍的な人間性の構築をはかっていきたいと考えています。 |